返済負担の軽減に向けた対応策

試算では新興国企業が抱える3.3兆ドルのうち、1.1兆ドルは中国に拠点を持つ企業が占めた。
このほかブラジルは3000億ドル超、インドは1250億ドルに達した。主に米国の投資信託やヘッジファンド、年金が新興国でのドル建て資金の供給を担ってきた。
年内の米利上げ観測や中国人民元切り下げをきっかけに、資金を米国などに引き揚げる動きが強まった。
この結果、マレーシアの通貨リンギはアジア通貨危機以来の水準まで下落。
インドネシア、タイ、フィリピン、ベトナム、ブラジルなども対ドルで歴史的な安値をつけた。
地元企業にとってみれば、自国通貨建てでみた債務の返済負担が増し、業績悪化や信用力の急低下につながっている。
タイ国際航空は４～６月期決算でドル建て債務の負担が膨らみ、36億7900万バーツの為替差損を計上。フィリピンの複合企業サンミゲルも１～６月期で11億ペソの差損が出た。
有利子負債の一部をルピア建てに借り換えると表明したインドネシア通信大手のＸＬアクシアタのように、返済負担の軽減に向けた対応策を急ぐ企業も多い。
日本を除くアジアの主要企業の信用力を映すクレジット・デフォルト・スワップという取引では、８月下旬の世界的な株安の連鎖をきっかけに信用リスクが急上昇した。
企業の破綻に備えた保険金にあたる保証料率は８月末時点で、１カ月前と比べ２割近く跳ね上がった。
マレーシアの格安航空会社エアアジアは９月末までに、インドネシアの資本規制をクリアするために1.5億ドルを調達する必要があるが、資金調達への懸念が出ているという。
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